不動産コラム
親の家はどうする?一宮市で不動産相続した長男が知るべき税金対策

一宮市にある実家を相続したものの、ご自身はすでに別の場所で生活していて、兄弟との話し合いも進まず「とりあえずそのまま」になっている――そんな状況に心当たりはないでしょうか。
実は、相続した家を放置することは、税金や維持費の面で想像以上の損失につながる可能性があります。本記事では、いちのみや不動産相続相談室を運営するじぶん不動産株式会社の知見をもとに、売却するかどうかを決める前に押さえておくべき税金対策とタイムリミットを整理しました。
最終的に「売る・貸す・住む」のどれを選ぶかは後で決めても遅くありません。ただし、判断材料となる知識だけは、相続が発生した今のうちに把握しておく必要があります。
目次
1. 実家を「とりあえず放置」する長男が直面する大きなリスク
相続した家を空き家のまま放置すると、税負担と資産価値の両面で不利益が積み重なっていきます。住宅用地としての税優遇が外れる仕組みや、建物の劣化スピードを見落とすケースが多いことが、その理由です。
たとえば、一宮市内に親の家を所有したまま遠方に住んでいる場合、月1回の見回りでも交通費や時間的負担が発生します。さらに庭木の剪定や換気を怠ると、近隣からの苦情につながるケースも見られます。「持ち続けるだけでコストが膨らむ」という構造を理解することが、判断を前に進める最初のステップとなります。
住宅用地特例が解除されると固定資産税負担が大きく増える
空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)では、市区町村から「管理不全空家」または「特定空家」として勧告を受けた場合、住宅用地に対する固定資産税の軽減特例(小規模住宅用地で課税標準1/6など)の対象から外れる可能性があります。
該当する状態の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 老朽化が著しく、倒壊などの危険があるもの
- 衛生上有害となるおそれがある状態
- 適切な管理がされておらず、景観を著しく損なっている状態
2023年の法改正では、特定空家になる前の段階を捉える「管理不全空家」という区分が新設されました。指定そのものではなく勧告を受けた時点で税優遇の対象外となる扱いのため、放置のリスクは以前より早い段階で顕在化しやすくなっています。
✓ポイント:固定資産税の軽減は、住宅が建っているだけで自動的に維持されるわけではありません。管理を怠れば、行政の勧告を受けた段階で税負担の前提が変わり得る、という認識を持っておくと判断を誤りにくくなります。
老朽化と維持管理コストが静かに膨らむ
築年数が経った家屋は、誰も住まない期間が長くなるほど劣化が早く進む傾向にあります。換気不足によるカビ、配管の劣化、雨漏りなど、放置期間が長いほど将来の修繕費や解体費が膨らみます。
一宮市以外にお住まいの長男が現地まで通って管理する場合、交通費・宿泊費・業者手配の手間まで含めて、物件状況や距離によっては年間で相応の維持コストが発生するケースもあります。
✓ポイント:「使っていないのにお金が出ていく」状態を続けるほど、最終的な手取り額は静かに目減りしていきます。維持コストを一度数字に書き出してみることが、判断を前に進める材料になります。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省
2. 売るか迷っていても知っておきたい税金対策
売却の決断ができていなくても、節税制度の知識だけは早めに持っておく必要があります。税制優遇には期限が定められており、知らないまま過ぎてしまうと取り戻せないためです。
特に「空き家の3,000万円特別控除」は、相続した実家を売却する可能性がある人にとって代表的な節税特例のひとつにあたります。この制度を把握しているかどうかで、最終的な手取り額が大きく変わる可能性があります。
代表的な節税特例「空き家の3,000万円特別控除」とは
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。一定の要件を満たした相続実家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
主な要件の概要は以下の通りです。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 建物の建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築されたもの |
| 建物の種類 | マンションなどの区分所有建物は対象外 |
| 相続前の居住状況 | 被相続人がひとりで居住していた家屋 |
| 相続後の利用状況 | 相続から譲渡まで賃貸・事業・居住の用に供していない |
| 売却時の状態 | 一定の耐震基準を満たすか、取り壊して更地で売却 |
| 譲渡価額 | 1億円以下 |
なお、令和6年(2024年)1月1日以降の譲渡では、相続人が3人以上で共有して売却する場合、控除額は1人あたり2,000万円が上限となる改正が入っています。適用可否や細かい要件は個別事情で異なるため、税理士や所轄の税務署で必ず確認しながら進める形が安全です。
「相続開始から3年」のタイムリミットに要注意
この特例には、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡を完了する必要があるという期限が設けられています。ここでいう「譲渡」は契約締結ではなく、通常は引渡し・決済までを期限内に終える必要がある点に注意が必要です。「いつか考えよう」と先延ばしにしているうちに、節税メリットを丸ごと失ってしまうケースは少なくありません。
実務上、特に意識しておきたいポイントは次の通りです。
- 売却の意思決定だけでなく、引渡し(決済)までを期限内に完了させる必要がある
- 買主探しから契約・決済までは、物件条件や市場状況により変動するが目安として数か月程度かかる
- 兄弟間の合意形成にも時間がかかるため、逆算した行動が欠かせない
✓ポイント:「3年」と聞くと余裕があるように感じますが、実務的にはかなりタイトな期限です。査定や測量、相続登記など先に進められる手続きを並行しておくと、判断のための時間を確保しやすくなります。
出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
3. 一宮市の実家をどうする?検討すべき具体的な選択肢

選択肢を絞り込むには、立地と市場の現状を把握したうえで「ご自身にとって負担の少ない方法」を選ぶ視点が欠かせません。一宮市は名古屋市へのアクセスが良く、名古屋通勤圏として一定の住宅需要が見られるエリアのため、選択肢の幅が比較的広い点も特徴です。
一宮市の不動産事情と空き家関連の制度
一宮市はJR東海道本線や名鉄名古屋本線を通じて名古屋市内への通勤がしやすく、ファミリー世帯を中心に中古住宅の取引が見られる地域です。市内では空き家対策として相談窓口の設置や、一定条件を満たす老朽空き家については解体工事に関する補助金制度が設けられています。制度の対象条件や受付状況は時期によって変動するため、検討段階で一宮市の公式情報や地域の不動産会社に確認すると、確実な情報をもとに動けます。
「売却」「賃貸」「維持」を冷静に比較する
※表は左右にスクロールして確認することができます。
| 選択肢 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 売却 | 維持費・税負担から解放される/3,000万円特別控除を活用できる可能性 | 一度手放すと取り戻せない |
| 賃貸 | 家賃収入が見込める | 修繕費・空室リスク・管理負担が継続的に発生 |
| 維持(保有) | 将来住む・貸す選択肢を残せる | 固定資産税や維持コストが毎年かかり続ける |
遠方にお住まいの長男にとっては、管理の手間と税制優遇の期限を踏まえ、売却を選ぶケースも多く見られます。一方で、思い出のある実家を手放す心理的な負担も小さくないため、ご家族での合意形成を丁寧に進める姿勢が欠かせません。
✓ポイント:どの選択肢にも一長一短があります。比較軸を「金銭面」「管理負担」「家族の気持ち」の3つに整理すると、感情と数字を切り分けながら冷静に判断しやすくなります。
出典:老朽空き家の解体工事に関する補助金制度について|一宮市
4. 後悔しないために、今日から始められる第一歩
最終的な意思決定を急ぐ必要はありません。ただし、判断材料となる「実家の現在価値」と「相談できる相手」を早めに確保しておくと、その後の動きが格段にスムーズになります。
家族会議の前に「実家の現在価値」を把握する
兄弟間で話し合う際、基準となる数字がないまま議論しても結論はなかなか出ません。「今売ったらいくらか」「解体費はどの程度か」「賃貸に出すならいくらの家賃が見込めるか」――こうした目安があるだけで、感情論ではなく建設的な対話に進みやすくなります。
一宮市の地域事情に詳しい専門家へ相談する
不動産の価値は、立地・築年数・接道状況・近隣相場など多くの要素で決まります。とくに一宮市内では、町丁目や駅からの距離によって価格傾向が大きく異なることも少なくありません。地域の取引事例を多く持つ不動産会社に相談すれば、机上の数字ではなく、実際にどれくらいで売れるのかというリアルな根拠をもとに判断を進められます。
✓ポイント:無料相談・無料査定を実施している会社も多くあります。まずは情報収集だけでも始めてみるという軽い一歩が、最終的な損失を防ぐ大きな違いを生みます。
5. まとめ
相続した親の家を「とりあえず放置」する選択は、住宅用地特例の解除リスク、維持コストの増加、節税特例の期限切れといった複数のリスクを同時に抱えることを意味します。なかでも空き家の3,000万円特別控除は、相続開始から3年というタイムリミットがあり、知らないまま過ぎてしまうと数百万円単位で手取りが変わる可能性があります。
売る・貸す・住む。最終的な判断を今すぐ下す必要はありません。ただし、判断材料を揃える行動だけは、今日から始められます。一宮市内の実家の現在価値を知ること、そして地域に精通した専門家へ早めに相談すること――この2つが、後悔しないための最も確実な第一歩となります。
一宮市で相続した不動産のことでお悩みなら、いちのみや不動産相続相談室を運営するじぶん不動産株式会社へお気軽にご相談ください。長男としてのお立場、ご家族との関係性、税制面の不安など、状況を丁寧に伺いながら、最適な選択肢を一緒に整理いたします。

