不動産コラム
一宮市の不動産相続で迷ったら?実家を残すか不動産売却するかの分かれ道

一宮市にある実家を相続したものの、「自分が住む予定はないけれど、思い出のある家をすぐに手放す決心がつかない」「とりあえず様子を見よう」と立ち止まっていませんか。不動産の活用や売却には、登記や税金、相続人同士の話し合いなど、いくつもの手続きが絡みます。だからこそ結論を先送りにしてしまう方は少なくありません。
ただ、相続した不動産を「とりあえず放置」することには、想像以上のリスクが潜んでいます。維持費の負担、建物の劣化、そして近年の法改正による思わぬ出費まで、放っておくほど選択肢は狭まっていくのです。
この記事では、一宮市で不動産を相続して今後の扱いに迷っている方に向けて、実家を残す場合と売却する場合それぞれのメリット・デメリット、そして放置の危険性をわかりやすく整理します。大切な資産の行方を決める判断材料として、最後まで目を通してみてください。
目次
1. 相続した不動産は「早めの方針決定」が鉄則
実家を相続したら、最終的に残すにせよ売るにせよ、できるだけ早い段階で方針を決めることが何より大切です。なぜなら、決断を先延ばしにするほど資産価値が下がり、予期せぬ負担を抱え込む確率が高まるからです。
たとえば、判断を保留したまま数年が経つと、その間ずっと固定資産税や保険料を払い続けることになります。人が住まない家は傷みも早く、いざ売ろうとした頃には査定額が大きく目減りしている、というケースは珍しくありません。「いつか決めればいい」という先送りが、知らないうちにコストを積み上げているわけです。
つまり、相続不動産の扱いは「結論を急ぐ」のではなく「方針を早く固める」ことがポイントになります。残すと決めれば管理や活用の計画を立てられますし、売ると決めれば市場が良いタイミングを選べます。どちらにしても、早めに腹を決めた人ほど有利な条件で動けるのです。
先送りが資産価値を下げる理由
不動産は、保有しているだけで静かにコストが発生する資産です。空き家のまま放置すれば、税金や維持費は出ていく一方で、建物の価値は時間とともに下がり続けます。
加えて見落としがちなのが、相続人が複数いる場合の人間関係です。「いつか話し合おう」と先延ばしにしているうちに、次の世代へさらに相続が発生し、権利を持つ人がねずみ算式に増えてしまうことがあります。当事者が増えるほど合意形成は難しくなります。共有状態の不動産を売却するには原則として共有者全員の同意が必要で、賃貸活用についても契約内容や期間によって必要な同意の範囲が変わるため、放置するほど身動きが取りにくくなる、という事態に陥りかねません。
✓ポイント:相続不動産は「持っているだけで価値が目減りし、関係者が増えるほど扱いにくくなる」という二重の時間リスクを抱えています。だからこそ、感情の整理がつかないうちでも、まずは方針だけ早めに固めておく姿勢が、結果的にご自身と家族を守ることにつながります。
2024年から始まった「相続登記の義務化」
「急がなくてもいい」とは言い切れない、もう一つの理由があります。それが法改正です。2024年4月1日に施行された改正不動産登記法によって、相続による不動産取得を知った日から3年以内の相続登記が義務化されました。
正当な理由なく登記を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。しかもこのルールは過去の相続にもさかのぼって適用され、2024年3月以前に相続した未登記の不動産は、2027年3月31日が申請期限となっています。「親の代の名義のまま放置していた」という土地や建物も、もはや他人事ではないということです。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
| 相続の発生時期 | 登記の申請期限 |
|---|---|
| 2024年4月1日以降 | 取得を知った日から3年以内 |
| 2024年3月31日以前(過去の相続) | 2027年3月31日まで |
なお、遺産分割の話し合いがまとまらず期限に間に合いそうにない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きで過料をひとまず回避できます。ただしこれは暫定的な対応にすぎず、分割が決まれば別途3年以内に正式な登記が必要です。
✓ポイント:登記を放置すると過料のリスクがあるだけでなく、将来の売却や担保設定の際に手続きが一気に複雑化します。「方針を決める」前段階として、まずは名義が現状どうなっているかを確認しておくことが、すべてのスタート地点になります。
2. そのまま放置は危険?知っておくべき「空き家リスク」
方針を早く決めるべき最大の理由は、空き家を放置すること自体に明確なデメリットがあるからです。一宮市内に限った話ではありませんが、誰も住まない家を持ち続けると、お金・資産価値・税金という三方向から負担がのしかかってきます。
実際、相続した実家を「とりあえずそのまま」にしていた方が、数年後に売却を検討した段階で「思ったより安くしか売れない」「税金が上がっていた」と驚かれることは、当社のご相談でもよくあります。放置のツケは、たいてい後からまとめてやってくるものです。
以下では、具体的にどんなリスクが発生するのかを3つに分けて見ていきます。
リスク1:維持費が払い続けても消えない
住んでいなくても、不動産を所有している限りお金は出ていきます。代表的な維持費は次のとおりです。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産税 | 原則として毎年課税される |
| 都市計画税 | 一宮市内でも市街化区域内に土地・家屋を所有している場合に課税される |
| 火災保険・地震保険 | 加入は任意だが、火災・自然災害・近隣への被害に備えるなら継続可否を確認したい費用 |
| 水道光熱費の基本料金 | 契約を残せば使わなくても発生 |
| 管理・点検費用 | 草刈り、通気、見回りなどの手間または委託費 |
こうした費用は一つひとつは小さく見えても、毎年積み重なると無視できない金額になります。誰も住まず、誰の役にも立っていない家に、毎年お金を払い続ける構図ができあがってしまうのです。なお、所有する物件が都市計画税の対象になるかどうかは、課税明細書や一宮市の情報で確認しておくと安心です。
リスク2:建物の老朽化と資産価値の下落
人が住まなくなった家は、想像以上のスピードで傷みます。換気がされず湿気がこもることでカビや木材の腐食が進み、シロアリの被害も発生しやすくなります。
その結果、建物としての価値が下がるだけでなく、土地の売却にも悪影響を及ぼします。買い手から見れば「解体費用のかかる古家付き」となり、その分だけ価格交渉で不利になりがちだからです。早く動けば「中古住宅」として売れたかもしれない家が、放置によって「解体前提の物件」へと評価を落としてしまう、という流れは決して特別なことではありません。
リスク3:「特定空き家」指定で税金が跳ね上がる
放置リスクのなかでも特に注意したいのが、税金の優遇が外れてしまうケースです。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200㎡以下の小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。空き家であっても、通常はこの軽減を受けている状態です。
ところが、管理が行き届かない空き家が市区町村長から「特定空家等」または「管理不全空家等」として勧告を受け、必要な是正がされない場合、その敷地は住宅用地特例の適用対象から外れる可能性があります。軽減がなくなることで、土地部分の固定資産税は条件によっては最大でおよそ6倍に近づくこともあります。ただし実際の税額は、土地の評価額や負担調整措置などによって変わるため、必ず一律に6倍になるわけではありません。2023年12月の法改正以降は、倒壊寸前の家だけでなく、その手前の「管理不全」の段階でも対象になり得る点にも注意が必要です。
実際の流れとしては、いきなり増税されるわけではありません。「助言・指導」を経て、改善されなければ「勧告」という段階を踏み、勧告を受けて是正されない場合に特例が外れる仕組みです。逆にいえば、適切に管理するか、早めに方針を決めて手放せば、このリスクは避けられます。
✓ポイント:空き家の放置は「維持費」「資産価値の下落」「増税」という3つの負担が同時進行で重くなっていく状態です。なかでも固定資産税が最大6倍に近づき得る点は、放置の代償として見過ごせません。リスクが顕在化する前に方針を固めることが、家計を守る現実的な選択になります。
出典:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省
3. 実家を残す場合と売却する場合の比較
放置の危険性を踏まえたうえで、ここからは具体的な判断材料として「残す」と「売る」という2つの選択肢を比べていきます。結論から言えば、どちらが正解かはご家族の状況と資産計画によって変わるため、それぞれの長所と短所を正しく理解したうえで選ぶことが重要です。
理由は単純で、残す道には「思い出と将来の活用」という価値がある一方、コストと管理の手間がつきまといます。売る道には「現金化と負担からの解放」という価値がある反面、思い入れのある場所を失います。同じ実家でも、住む予定があるのか、相続人が何人いるのか、当面まとまったお金が必要かによって、最適解は大きく変わるのです。
まずは全体像を表で整理してみます。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
| 比較項目 | 実家を残す | 不動産を売却する |
|---|---|---|
| 思い出・愛着 | 手元に残せる | 失われる |
| 将来の活用 | 住む・貸すなど選択肢が広い | 売却益を別の用途に充てられる |
| 当面の費用 | 維持費・修繕費がかかり続ける | 諸費用は売却時のみ |
| 現金化 | しにくい | しやすい |
| 相続人での分割 | 公平に分けにくい | 換価分割で公平に分けやすい |
| 将来リスク | 老朽化・空き家リスクが残る | 完全に手放せる |
実家を残す(住む・貸す)場合のメリット・デメリット
実家を残す最大の魅力は、家族の思い出が詰まった場所をそのまま手元に置けることです。将来的に自分や子どもが住む拠点にもできますし、賃貸に出せば、管理や修繕の手間は発生するものの、毎月の家賃収入を得られる可能性もあります。
一方で、現実的なコストと手間は避けて通れません。残す場合に想定される主なメリットとデメリットを整理すると、次のようになります。
メリット
- 親や家族の思い出の場所を残せる
- 将来、自分や家族の住まいとして活用できる
- 賃貸に出せば家賃収入を得られる可能性がある
デメリット
- リフォーム費用や修繕費など、まとまった初期投資が必要になりやすい
- 賃貸の場合、一宮市内でも立地や間取りが需要に合わなければ空室リスクや管理の手間が生じる
- 相続人が複数いると、一つの不動産を公平に分けることが難しく、トラブルの火種になりやすい
特に賃貸活用を考える場合は、そのエリアに本当に借り手の需要があるかを見極める必要があります。一宮市は名古屋へのアクセスが良いエリアもあれば、駅から離れた住宅地もあり、立地によって賃貸需要は大きく異なるためです。
✓ポイント:残すという選択は「将来も使う見込みがある」「賃貸需要が見込める立地」「相続人が単独、または分割の合意が取れている」といった条件がそろうほど合理的になります。逆にこれらが不透明なまま残すと、維持費だけがかさむ結果になりかねません。
不動産を売却する場合のメリット・デメリット
売却の最大のメリットは、資産を現金化できることで、相続人同士が1円単位で公平に分けられる点にあります。不動産そのものを分割するのは困難ですが、売って現金にすれば「換価分割」として分けやすくなります。さらに、固定資産税や維持管理の手間、建物の倒壊リスクといった将来の不安から完全に解放されるのも大きな利点です。
得られた売却代金を、自分の生活基盤に合った資産運用や住み替え資金に充てられる柔軟さもあります。一方で、もちろん手放すことによるデメリットも存在します。
メリット
- 現金化により、相続人間で公平に分割(換価分割)しやすい
- 固定資産税・維持管理・倒壊リスクなど、将来の負担から解放される
- 売却代金を、自分の生活設計に合った用途へ振り向けられる
デメリット
- 思い入れのある実家という場所が、完全になくなってしまう
- 仲介手数料や、利益が出た場合の譲渡所得税などの諸費用がかかる
ただし、後述する税制上の特例を使えるかどうかで、手取り額は大きく変わってきます。費用面だけを見て敬遠する前に、利用できる控除がないかを確認しておくことが賢明です。
売却時に知っておきたい「空き家の3,000万円特別控除」
相続した実家を売る場合、条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける「空き家の特別控除」を利用できる可能性があります。これは相続した被相続人の居住用家屋を一定期間内に売却した場合に使える制度で、適用されれば税負担を大きく抑えられます。
ここで注意したいのが、2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡から始まったルール変更です。相続人が3人以上になる場合、控除額は1人あたり2,000万円に縮小されました。1〜2人なら従来どおり1人最大3,000万円ですが、人数によって枠が変わる点は押さえておきたいところです。
| 相続人の人数 | 1人あたりの控除上限 |
|---|---|
| 1〜2人 | 最大3,000万円 |
| 3人以上 | 最大2,000万円 |
ただし、すべての相続不動産で使える制度ではありません。適用には、おおむね次のような要件を満たす必要があります。
- 家屋が1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられたもので、マンションなどの区分所有建物ではないこと
- 相続開始の直前まで、被相続人が一人で居住していたこと
- 相続後、譲渡までに事業・貸付・居住用として使っていないこと(相続後に貸した場合は原則対象外)
- 売却代金が1億円以下であること
- 一定の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊して売却すること
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却し、確定申告を行うこと
これらの要件は細かく、適用できるかどうかは個別の事情によって変わります。「使えるはず」と思い込んで進めると後から対象外と判明することもあるため、売却を検討する段階で税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
✓ポイント:売却は「公平な分割」「将来リスクからの解放」という明確な利点があり、空き家の特別控除を活用できれば手取りもさらに増やせます。「諸費用がかかるから」と一面だけで判断せず、使える制度まで含めて総合的に比べることが、後悔しない選択につながります。
4. 迷った時は、まず一宮市の不動産価値を知ることから始めよう

ここまで放置のリスクと、残す・売るそれぞれの長所短所を見てきましたが、改めてお伝えしたい結論はシンプルです。残すか売るか決められないなら、まずは現状を正確に把握することが第一歩になります。
判断材料が足りないまま悩み続けても、答えは出ません。「今売ったらいくらになるのか」「貸した場合にどの程度の需要があるのか」という客観的なデータがあって初めて、冷静な比較ができるからです。逆にいえば、相場という数字さえ手元にあれば、感情と現実を切り分けて落ち着いて考えられます。
そのための具体的な行動が、地域の市場に精通した不動産会社への査定依頼や相談です。ここで強調しておきたいのは、査定を受けたからといって、必ず売却しなければならないわけではないという点です。査定はあくまで「自分の資産が今どれくらいの価値を持っているか」を知るための情報収集であり、その結果を見たうえで「やはり残そう」と決めても、もちろん構いません。なお、査定額は成約を保証する価格ではなく、周辺の取引事例や物件の状態をもとにした売却価格の目安です。実際の成約価格は、販売時期や需要、建物の状態、価格交渉によって変動します。
いちのみや不動産相続相談室を運営するじぶん不動産株式会社は、一宮市エリアに密着し、地域のお客様が抱える相続や不動産の悩みに数多く向き合ってきました。相場の見立てや、残す・売るといった方針の整理に加え、税制面については一般的な制度のご案内や、税理士などの専門家との連携を通じてサポートいたします。
「とりあえず情報だけでも欲しい」という段階で構いません。大切な資産の行方を後悔なく決めるために、まずは一度、現状を知るところから始めてみてください。

